ウクライナの新聞記事(2001/8/7-8版)(2001/11/8一部訂正,2015/5/17HOMEに修正) |
訳:小林増美(ポーランドクラクフ在住)
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ポストゥプ[進歩、発展](2001.08.07−08)
日本ベートーベン記念週間
〈音楽〉ゾリャナ・ナヒルニャク
[写真が載っていたようです]
8月の第1日曜日は、ルトケヴィチュ名称コンサートホールで、ベートーベン国際音楽フェスティバルが始まった日であった。リヴィウフィルハーモニー管弦楽団、日本とポーランドから招かれた合唱団、指揮者、ソリストの参加によるフェスティバルは8月11日まで続き、リヴィウ市民はドイツの天才作曲家の音楽の美しさと偉大さを評価する機会に恵まれることになった。
日本からの参加者達がウクライナを音楽祭の場に選んだのは偶然ではない、それぞれ悲劇を経験したという共通点を見出しているのである。8月は広島と長崎で原爆が投下された月であり、ウクライナは原発事故による放射能汚染問題を抱えている。フェスティバル名自体、「抱擁せよ、百万の...」と象徴的である。ベートーベンの音楽は、この2つの民族の心を1つにつなぎ合せるのに、最も適した音楽なのである。
フェスティバルは、山田信芳(2000年度マスタークラス指揮コンクール(東京、ウィーン)、第1位受賞者)の指揮による交響曲第1番、第3番によって始められた。この先、クラシック音楽の信奉者達は、残る7つの交響曲、「エグモント」序曲、「フィデリオ」序曲、第1、第2、第5ピアノ協奏曲を聴くことができるのである。1週間を通して、フィルハーモニーの舞台では、世界中で著名なソリスト達 ― ヤクプ・トホジェフスキ(ピアノ、ポーランド)、浦山純子(ピアノ、日本)、淵本裕子(ピアノ、日本)、小林史子(ソプラノ、日本)、片桐仁美(メゾソプラノ、日本)、井原義則(テノール、日本)、末吉利行(バリトン、日本)― が、素晴らしい演奏を披露してくれることであろう。はるか東の彼方からの参加者達のなかに、このフェスティバルの発案者である、東欧諸国、なかでもリヴィウ市民にはすでに馴染みの深い指揮者、草川幸雄がいる。彼の指揮する曲のうちの1つがフェスティバルをしめくくることになる。彼の指揮の下で、日本からのソリスト達と合唱団「シューベルト200」(1997年結成、山田信芳を芸術監督とし指導されている、主なレパートリー ― 6つのシューベルトミサ曲、ベートーベン交響曲第9番)がベートーベンの交響曲第9番を演奏する。
以上のほかに、合唱団は8月9日にリヴィウオルガン室内音楽ホール(マリアマドレーナ教会)でもコンサートを行う。コンサートが類いまれでないものになることは間違いないであろう。第1部では日本の作曲家達の作品を紹介するのである。
今回、このような高水準の音楽 ― 日本人音楽家達の演奏 ― を聴く歓びのために支払う金額は、ヨーロッパのそれとは比べ物にならない ― わずか3フルィブナから15フルィブナ。ほぼ満席になった、夏というオフシーズンでのフェスティバルのオープニングは、世界中のクラシック音楽が時代を超えて受け入れられるという、「永遠の現代性」を確証したのである。
<問い合わせ先>
mail-to:tasaka-u1@na.commufa.jp
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